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放射線検出の実験

3年生の物理の授業で、「はかるくん」を使って放射線検出の実験を行いました

 福島第一原発の事故以来、放射線に関する話題を頻繁に耳にするようになりました。今までの放射線の授業では、学校に一台しかない、いわゆるガイガーカウンター(GM計数管)で放射線検出の音を聞く程度でした。今回、「はかるくん」という簡易放射線測定器を埼玉県教育委員会から複数台借りることができました。
  本校に貸与された 「はかるくん」は、α線、β線、γ線などの放射線の中でγ線を検出する装置です。これらの放射線は、原子の中心にある原子核という小さな粒子から放出されます。今まで使ってきたガイガーカウンターに比べより正確に(※)放射線量を測定することが可能になりました。さらに、複数台借りることができたため、放射線検出の実験を生徒自身で行うことが可能になりました。
   生徒が自分自身で放射線検出を行うことで、放射線や原子核のことをより深く理解することはもとより、放射線を「賢く恐れること」ができるようになるために、以下に記す実験を行いました。

  ※上に「より正確に」と書きましたが、放射線検出器はメーカーで「校正」ということを行って計測値の正確さを維持します。しかしながら、貸与された「はかるくん」は、ここ何年も「校正」作業を行っていないものと考えられます。したがって、計測された数値に実際の値とのずれがある可能性を付け加えておきます。ただし、「はかるくん」どうしの測定値の違いは顕著にはありませんでした。


「はかるくん」を使って3種類の実験を行いました。

実験1 自然放射線量(空間放射線量)の測定    テーマは「自然放射線の存在を知る」

実験2 放射線はどうやったら弱めることができるのか   テーマは「放射線から身を守るには」

実験3 γ線スペクトルの観察

  テーマは「大学の原子核物理講座や放射線化学講座でやるような少し高度な実験を体験し てみよう」


実験のタイトルをクリックして下さい

簡単な報告をいたします。


 

実験1 自然放射線量(空間放射線量)の測定

    「自然放射線の存在を知る」をテーマに実験を行いました。


          落ち葉の放射線量測定                      校門付近での測定
 落ち葉 校門


  生徒のレポートより 空間放射線量の測定値(単位はμSv/h
  測定値2
   測定値1

  空間放射線量が一番高かったのは物理実験室でした。校舎の外は、予想以上に線量が低かったことに生徒もビックリ。
 生徒のレポートには、

 ・少しの量ではあるけれど、どの場所にも放射線があることに驚いた。

 ・この実験をしてみて、生活しているさまざまな場所にも必ず放射線があるということが分かり驚きました。

 率直な驚きや感想が書かれていました。

 

実験2 放射線はどうやったら弱めることができるのか

    「放射線から身を守るには」というテーマで実験を行いました。

① 自然放射線量(「バックグラウンド(B.G.)」という)の測定

 
   最初に、物理実験室内での自然放射線量(バックグラウンドB.G.)の測定を行いました。0.050μSv/h程度でした。放射線源(放射線を出す物質)からの放射線量と、この自然放射線量を比較することで、正確な実験が可能になります。したがって、自然放射線量の測定は大切な作業です。0.050μSv/hという値は、この日のさいたま市の放射線量とほぼ同じでした。


  バックグラウンド測定

バックグラウンド数値

                              (単位はμSv/h

② 放射線源(放射線を出す物質)からの距離による放射線量の変化は?

 今回、放射線源としては、教材として用意されている注射器に入った放射性トリウムが含まれる布を用いました。念のため注射器ごとビニール袋に入っています。写真中の赤い部分が放射線源です。放射能はごく弱いものです。
距離1

距離2

 生徒のレポートより 放射線源からの距離による放射線量の変化(単位はμSv/h
   表中の「B.G.」は自然放射線量(バックグラウンド)の意味

 距離測定値

生徒のレポートより 別のグループによる実験結果のグラフ

縦軸は測定した放射線量(単位はμSv/h)、横軸は放射線源からの距離(3.5cm~20cm)

         右のグラフは、左のグラフから自然放射線量(バックグラウンドB.G.)を引いたもの

距離グラフ

 グラフにすると変化の様子がよく分かります。距離とともに、放射線量が急激に弱まることが分かります。教材の放射線源の強さでは20cm離れると自然放射線量と変わらない値です。

    生徒の感想より 

      ・距離の2乗に反比例することが分かりました。

      ・数cm離れるだけで大幅に放射線が減ることに驚きました。


放射線量は、放射線源からの距離の2乗にほぼ反比例して弱まります。これは電灯からの光の弱まり方と同じです。


 

③ 鉛の板はどのくらい放射線を弱めることができるか?

鉛は厚い方が放射線を弱めることができるのか?


 鉛で放射線を防ぐことができるとよく耳にしますが、実際はどうでしょうか。厚さ2mmの鉛板を何枚か重ねて、鉛板の厚さと放射線量の変化を測定しました。
実験具は、にわか作りでまだまだ素朴ですが… 


           鉛3枚(厚さ6mm)
  鉛6mm

       鉛5枚(厚さ10mm)
 鉛10mm


   生徒のレポートより 鉛板の厚さによる放射線量の変化(単位はμSv/h
      表中の「B.G.」は自然放射線量(バックグラウンド)の意味
  

   鉛数値
 
   生徒のレポートより 別のグループによる実験結果のグラフ(単位はμSv/h)
      縦軸は測定した放射線量(単位はμSv/h)、横軸は鉛板の厚さ(0mm~10mm)

   右のグラフは、左のグラフから自然放射線量(バックグラウンドB.G.)を引いたもの
  鉛グラフ
   

グラフにすると変化の様子がよく分かります。鉛板は放射線量を弱めています。
右の方のグラフでは、厚さ5mm付近でγ線の強さが半分になっています。

   生徒の感想より

・距離や遮へい物によって、放射線の量が変わるので、このようなことを利用して、放射線を弱めることで、安全を確保できるだろうと思った。
・遮へい物があるだけで放射線を防げるとは思わなかった。放射性廃棄物などの処理を、ただ(地中に)埋めるだけでなく、放射線そのものをなくせるような技術があればいいなと思います。

 放射線から身を守るには、放射線源から「距離」をとること、鉛のような「遮へい物」使うこと、そして長い「時間」放射線を浴びないこと、ということができます。

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実験3 γ線スペクトルの観察

「大学の原子核物理講座や放射線化学講座でやるような少し高度な実験を体験してみよう」というテーマで行いました。

 
  簡易放射線測定器「はかるくん」のアナログ出力をパソコンのマイク端子に接続して、γ線のスペクトルの観察を行いました。
  γ線スペクトルとは、横軸にγ線のエネルギー、縦軸に検出されたγ線の数を示したグラフです。放射性元素ごとに、特定のエネルギーのγ線を放出するため、それがグラフ中で山のような出っ張り(スペクトルのピークといいます)として観測されます。原子核の種類を調べたり、原子核の構造を探るために使われます。γ線スペクトルを表示・解析するためのアプリケーションソフトは、Theremino Mca(テレミノMCA)というソフトを使用させてもらいました。
 
    「はかるくん」とパソコンを接続した様子                 バックグラウンドの測定中
  接続の様子 バックグラウンド測定

    放射性トリウムが含まれる布を測定中 
  測定中
     
  放課後から翌日の朝まで測定を継続
    放課後

γ線スペクトルの一例です。放射線源は放射性トリウムです。
前日の6時間目から18時間測定を続けた結果 いくつかの山(ピーク)が見えています    トリウムスペクトル

   γ線スペクトルのデータがたくわえられていく様子
     スペクトルアニメ
ただ、縦軸の高さが自動的に調整されているため、データがたくわえられている様子というよりも、
スペクトルが滑らかになっていく様子になっています。データが十分たくわえられてくると、スペクトルが
滑らかに見えてきます。これが、γ線スペクトルの特徴です。

     あらかじめ測定した物理実験室内の自然放射線(バックグラウンドB.G.)のスペクトル
     バックグラウンド
 
   スペクトルの左側(低いエネルギー領域)の大きな山(ピーク)は電気的な雑音によるものと思われます。
 真ん中のあたりの赤い縦線で示されている小さな山(ピーク)は、コンクリートにごく微量に含まれるカリウム40の
 γ線(自然放射線の一つ)と考えられます。


  生徒の感想より

・昨日実験を始めたばかりの時は、ピークがあまり分からなかったけど、約18時間計測した結果、いくつかピークがきれいに現れてすごいなと思いました。
・長時間計測した結果、滑らかな線になっていった。とても弱い放射線源だったので、バックグラウンドとそんなに変わらなかった。


   放射線源が弱いため、1時間の授業では十分な量のデータをたくわえることができません。そして、長時間測定してもバックグラウンドと変わらないような弱い放射線源もあります。データは十分たくわえられますから、スペクトル自体は滑らかになります。それを見抜いているのは高校生として高いレベルの観察眼といえます。


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